ショパンのピアノ前奏曲第7番イ長調作品28ー7番といえば、すでに私たちの耳には太田胃散のCMソングとしてきこえてきてしまいます。ハイドンの交響曲「驚愕」の第二楽章だって、その響きは、あっ、「麺の達人」だ。というように、知らぬ間に、CMに使われて、耳に親しいものになっているクラシック音楽。
思えば、クラシック音楽の発注元は、教会→王侯貴族、20世紀になってからは、レコードやCDを買い、コンサートに行く大衆と推移してきました。共産圏のように、文化政策としての国家というのもあります。しかし、日本は高度成長期とバブルいう好景気の中で、広告宣伝であるCMが、ともすれば、狭い世界でしか聴かれることがない現代音楽、クラシック音楽のパトロンになり、紹介者だったということは、に知っておくべき音楽文化史のひとつなのです。
今回のゲストである、ミスターミュージック社長の吉江一男さんは、まさにそういったCM音楽クリエイティブを確立し、最盛期を支えてきた人物。10歳で音楽にハマり、高校生時にはバンドならぬ、自身のビッグバンドを作り活動。自身の会社を設立してからは、ヒップホップ、テクノなどのポップミュージックの最先端の才能とともに、現代音楽の作曲家達に多くのCM曲を作り上げてきました。
コンセプチュアルな現代音楽作曲家たちが、CMのお題にどう回答を出してきたのか? その現場はどうだったのか? という生の証言とともに、吉江さんの貴重な映像、音楽アーカイヴをお蔵出ししていただく、またとない一夜。
ギョーカイ人、いや文化系を自認する人間にとって、「知っておくべき音楽教養」である、日本のCMクリエイティブとクラシック音楽の関係を紐解いていきます。
参考資料↓
マーラーの「大地の歌」をまんまテーマにし、マーラーブームの一端を担ったCM
http://www.bing.com/videos/search
ゲスト:吉江一男
プロデューサー/(株)ミスターミュージック代表取締役
1948年東京生まれ。
10才で突然音楽に目覚め器楽合奏や合唱に入れ込む。
高校時にはビッグバンドを結成。自己流アレンジに限界を感じて本格的に作編曲法の勉強を始める。
八木正生に師事し、20才でCM音楽制作会社ARAに入社。
1970年ネスカフェ・ゴールドブレンド「ダ・バ・ダ」やフジテレビ「あしたのジョー」でプロデューサー・アシスタントとディレクターを経験し、72年渡米までの3年間に500本の制作をする。
78年(株)ミスターミュージック設立。ヒップホップ、テクノ、パンクなど当時のムーブメントをCMから発信するべく、加藤和彦、坂本龍一、近田春夫らを巻き込み斬新なCM音楽を制作。
86年、ルーツであるクラシック魂から、間宮芳生、藤井渓子、新垣隆、杉山洋一、一ノ瀬響など、現代音楽の作曲家達を積極的にCMに起用した。
ジョン・ケージが審査員参加した「MUSIC TODAY 10周年記念」のグランプリ受賞者中川俊郎は専属作曲家である。
代表的なプロデュースCM音楽作品としては、冬のリビエラ(森進一)、色彩都市(大貫妙子)、男と女のラブゲーム(武田鉄矢&芦川よしみ)、いつまでも変わらぬ愛を (織田哲郎)、揺れる想い (ZARD)、小学館ピッカピカの一年生(作曲)など。
席亭
湯山玲子(ゆやまれいこ)
著述家。
著作に『女ひとり寿司』(幻冬舍文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、上野千鶴子との対談集「快楽上等! 3.11以降の生き方」(幻冬舎)。
近著に『ベルばら手帖 マンガの金字塔をオトナ読み』(マガジンハウス)、『文化系女子という生き方 ポスト恋愛時代宣言』(大和書房)等。
父君がクラシック作曲家、湯山昭という環境に育ちつつも、ハマったのはクラブミュージックで、著書『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)は、クラブ文化を都市や歴史風土の観点から分析、論考を行った。
10月からMXテレビ21時~「バラいろダンディー」金曜日のレギュラー、毎月一週間のサイクルで、NHK第一ラジオ11:30~「すっぴん」11:30~音楽コーナー「Music Scrap」に出演中。
日本大学藝術学部文芸学科非常勤講師。
湯山玲子presents 爆クラ 第36夜
「CMがクラシック音楽のパトロンだった時代」
ゲスト:吉江一男(ミスターミュージック社長)
席亭:湯山玲子
ゲスト:吉江一男
開場:19:15
開演:20:00
料金
¥3,000(税込み)+ドリンクオーダー
¥1,500(税込み)+ドリンクオーダー(学割)