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いよいよ開催が2週間後に迫りました、ボリショイsuzumiki音楽劇「ごろごろにゃーん」。今回は、主宰でありトロンボーンプレーヤーであるすず奴さんに直前スペシャルインタビュー!ということで、そもそもsuzumikiとは?にはじまり、本邦初公開となる若干のネタバレを含みつつ、今企画の見所に迫ります。
(インタビュー/テキスト 石井萌)

 

■トロンボーンすず奴 × ギターみきおによるデュオ『suzumiki』

suzumiki:すず奴(コスプレトロンボーン兼ボーカル)と、吉村みきお(ギター)のアコースティックデュオ。「アコースティックとかお洒落なカフェとか、スカした音楽シーンに肘鉄を喰らわす!」という初期衝動から2008年に結成。ライブのたびにコスプレと設定を変え、”ポップン寸劇デュオ”と評されるユニークなステージを繰り広げる。

http://suzumiki.com

suzumiki1
(ごろごろにゃーん主宰&トロンボーンプレイヤーのすず奴)

 

石井萌(以下、も):そもそもですけど、どうやってsuzumikは始まったんですか?

すず奴(以下、す):ひと言ではまとまらないので、ちょっと遡ります。元々、『太ももサティスファクション』というバンドをやっていたんだけど、その更に前、大学生のときに、女子大生ビッグバンドをやっていて、

も:『フェロモン共和国』ですよね。

す:そうそう。私の行ってた大学にも学バン(学生ビッグバンド)があって、山野ビッグバンドジャズコンテストとかにも出てたんだけど、メインの学バンって競争率も高いから、上手い人が残って、女の子は脱落しちゃうの、当時はね。

も:なるほど。

す:上手くなるためには練習しなきゃいけないんだけど、授業終わってバイト終わって…ってなると夜になるじゃない?夜に学校の敷地内の屋外で練習することが多かったんだけど、危ないからあまり遅くには練習できないし、そもそも女の子は、音楽以外にも勉強とか、バイトとか、恋とか資格とか、やりたいことがたくさんあって脱落していく。で、サークルに同期の女の子が来なくなる。その状況に、すごいムカついたから(笑)、女の子だけのビッグバンドを作ろうって、4年生のときに。で、せっかくだから水着になろうぜ!って。

も:その、「せっかく感」は人それぞれの気がしますけども(笑)、すずさんの中にそういう発想があるのが面白いですよね。

す:一番の勝てる武器だと思ったんだよね。メンバーは「こいついけそう」ってあらかじめ目星をつけて、「水着になりますよ、学祭でライヴしますよ、練習はこれくらいですよ」って、一人ずつオファーをして20人集めた。でも、学祭前日にバンド内クーデターが起きて(笑)

も:え?!

す:最後のリハしてたら、「すずさん、やっぱり水着を着たくありません」ってみんな言い出して、「は!?」みたいな。で、ドカーンって怒って、「お前らが水着着ないなら、下着で出てやるよ!」って訳の分からないことを言ったら、「じゃあ分かりました…」みたいな(笑)

も:アハハハ(笑)

す:本番は、まずスーツで出てきて、途中で脱ぐっていう演出だったの。でも、水着になった後に最後の曲をやったら、めっちゃ、みんな音がでかくて!「おお!出るんじゃん!」って。脱いだことで、バーーン!って、吹っ切れたのが面白かった。

も:演奏しながら感じるって、相当だったんでしょうね。

す:女の可能性を見た気がした。ライブはもちろん大入り満員で大成功。でも、卒業したあと、私の後を継いでくれる人は誰もおらず、一回こっきりの伝説となりました(笑)

も:(笑)

 

■『suzumiki』誕生

す:社会人になってから東京へ来て、バンドはやってたんだけど、28歳のときかな、何かそろそろやりたいなあと。水着着れるのも最後かなって思って、ビキニトロンボーンギャルバンド『太ももサティスファクション』を結成しました。音楽仲間を探すために観に行ったライヴで、ルミエールとジャッキーに出会って、声をかけて。その頃管楽器界はまだ男尊女卑みたいな感覚があって、そういうのクソ〜!って思ってたから、菅楽器界に革命を!女の子に愛と勇気を!みたいな。

も:2005年に結成した太ももサティスファクションは2009年に解散、少しかぶって2008年にsuzumikiを結成する訳ですけど、そこに共通項はありますか?

す:太ももは、素晴らしいバランスで成り立ってた。トロンボーンの3人がメインなんだけど、いつも3人それぞれがアイデアを持っていて。私が企画をぶち立てるプランナー、ルミエールがそれに骨肉を加えていくディレクター、そしてジャッキーは演奏のクオリティを上げるプレイヤーって感じで、自然に分担してた。

も:なるほど。

す:そういう意味では、suzumikiはすごくバランスが悪いというか…無いものが多すぎる(笑)

も:(笑) どうしてデュオにしようと思ったんですか?

す:太ももは10人のバンドだったから、suzumikiはこじんまりとしたものにして機動力をあげたかったんだよね。それで、せっかくやるなら面白い要素入れたいなって思って、コスプレ!って。結構安易な(笑)

も:ふむふむ。

す:でも、最初に呼んでもらったイベントの出演者がみんな変で、suzumikiが一番まともだったの。そのときはナースのコスプレだったんだけど。「ヤバイ。自分たちめちゃくちゃ普通だーっ!」って。

も:そっちの「ヤバイ」(笑)でも、私が2011年の春に初めてsuzumiki観たとき、そもそも別のバンド目当てで行ってたんですよ。で、対バンでミツバチの格好したトロンボーンプレーヤーが出てきて、「え?ハチ…(笑)」ってなって。でも、始まったら曲がとにかくカッコいい。特に、『まきびしのうた -makibishi around highway 7-』の世界観にやられて。そこから「次の曲は、ハイウェイに撒かれたまきびしを回収する杉並区役所の人の曲です」ってMCで、ああ、続きのある歌なんだな〜、って思ってたらまさかのインストが始まって(笑)「ええ!?歌詞無いの!?」って、

す:歌詞も無いし特に詳しい説明も無いよね(笑)

も:そうそう(笑)とにかくガツンときて…、目当てだったバンドももちろん楽しかったけど、帰り道で一緒に行った人とsuzumikiの話しかしてなかったのを覚えてます。

す:本当!?ほええ〜ありがとうございます、そんな。

も:そのぐらいのインパクトで。ショッキングでした。

す:謎だった?

も:はい。私のイメージだと、コスプレしてバンドやるっていうのは、何だろう、こう、「こんな格好して面白いでしょ?可愛いでしょ?どやどや」っていうテンションだと思っていて。でも、違ってました。

す:そっか。違ってた?

も:この人たちは、ふざけている訳じゃないらしい、っていうことがステージから伝わってきて。

す:アハハハ(笑)

も:だから、すごく面白いけど、笑うとかじゃなくて、ただただカッコイイ…って印象だけが残ったんですよね。この人たちは一体どういう経緯でこうなったの!?って、ますます分からなくなって(笑)

す:そうだよね(笑)

も:suzumikiのライヴは、同じ曲を演奏するにしても毎回物語が変わりますよね。それがコスプレとセットになっていて。ライヴと物語は、最初からセットだったんですか?

す:いや、最初は本当に、ただコスプレして演奏してるだけだった。だから、お客さんからすると、「何でハチなの!?」ってなるよね。萌ちんが初めて観てくれた日も多分、なぜハチなのかは説明してなかったと思うんだけど。

も:あ、確かに。

す:で、あるときお客さんに「何なの〜?」って聞かれて。自分でも「何ですかね…?」って。何となく着ただけだったから(笑)でも、色んな人に聞かれるようになって、「じゃあ説明していこう」って思って、『おしえてあげる』って曲をつくって、

も:なるほど、物語で展開していくスタイルにはそういう経緯があったんですね。

す:始まる前のSE(※1)も、更に分かり易くするための手段なんだよね。世界観をより分かってもらえるように。
(※1 suzumikiライヴでは、最初に本人たちによるラジオドラマ的な語りがSEとして使われる。SEもライブごとに作るという徹底ぶり!)

も:その物語のつくり方も独特ですよね。フィクションだけど細かな部分のリアルを追求するし、世界的な広さもありつつ、時代もまたいでいって…。あの、カカオ豆が貨幣としての価値があった〜みたいな話とか、

す:アステカ帝国の話ね(笑)

も:そうそう(笑)

す:なかなかね、そこまで聴いてるお客さん居ないと思うんだけど。

も:いや、実際、みんな結構気になってると思います(笑)

 

■ついに、ボリショイsuzumiki音楽劇、始動

音楽劇『ごろごろにゃーん』特設サイト http://suzumiki.com/bolshoi.html

も:そしていよいよ『ボリショイsuzumiki』が動き出したんですね。確認したら、去年の11月に初めて「ボリショイsuzumikiについて考案中」みたいなことをTwitterで呟いていました。こじんまりをコンセプトに始めたデュオを大所帯にって、何かきっかけがあったんですか?

す:オルケスタリブレの『三文オペラ』を観たんだよね。それで、すげええ!って感動して。その頃ちょっと悩んでて、友達に相談したら「嫌なことは止めて、やりたいことやりな」って言われて。「やりたいこと…?」って考えたときに、オルケスタリブレみたいな音楽劇!って思ったの。だから、人数構成とかは、実はオルケスタリブレと同じなんです。

も:そうなんですね。でも、どうしてこのメンツだったんですか?特に、全員芝居経験の無い“役者陣”がユニークだなあと。

す:元々、相方のみきおは俳優でも行けるんじゃないか?って思っていたのと、ハニィちゃんは、去年の秋に『たをやめオルケスタ』(※2)で歌ってもらう機会があって、そのときに「ビッグバンドでも映えるヴォーカルなんだな〜!」って感じて。でも、SM嬢の役だから…、私なんかは全然抵抗ないんだけど、ハニィちゃんは戸惑いあるだろうな。

(※2 たをやめオルケスタ:すず奴が参加する女性18人のトロピカルビッグバンド)

も:ヴォーカリストとしてやってこられた方ですからね…(笑)

す:でも、「お客さんの前に立つとスイッチが入る」って自分で言ってた。舞台映えも断トツです。そういう意味では一番未知数で、楽しみな人。

も:ねるやまさん、ピンQさんはどうですか?

す:ねるやまさんは演者というよりは、企画する側の人。本業は映像クリエイターなんです。ねるやまさんが手掛ける映像企画に出演したことがあって、そのご縁でお願いしました。すごく真剣に練習してくれていて、もうばっちり。ピンQちゃんはさすがダンサー!稽古への合流が一番遅かったのだけど、立ち方とか魅せ方とか、分かってるよね。バーン!ジャーン!って(笑)飛び抜けて安心感がある。

も:みきおさんは?

す:みきおは、もう私が徹底的にしごいて。「顔を上げろおおお!前を向け!前をおおおお!」って(笑)でも、すごい頑張ってくれてて、だいぶ形になってきました。ステージに立つ人って、結局、いい加減にできないから。それぞれが、それぞれの本気を出すから、面白いことになるんじゃないですかね(笑)

も:楽団もまたすごい面々ですよね。そちらはどうですか?

す:いつか共演したいってずっと思ってた人たちばかりだから、実現して嬉しいしありがたい。ただ、私が作・編曲をきちんとやるのが初めてだから、それぞれのミュージシャンシップに相当助けてもらっています。

も:バンドはみんな揃ってリハをしているんですか?

す:揃ってやってます。みんなすごく一生懸命やってくれてる。実は一曲ずつ、楽団メンバーそれぞれにフィーチャーした曲があるから、それにも注目して欲しいな。

 

■音楽劇『ごろごろにゃーん』、ここが見所!

も:今回のお話、さわりだけ、ちょこっと教えてもらえませんか…?

す:『ごろごろにゃーん』は、お客さんに、ある船の出港に立ち会ってもらう話。「出港までに時間があるので、ある男の半生をご覧下さい。」で、物語が幕をあけるの。

も:ほおお。

す:内容は、古典的な金と愛、成功と失敗、贖罪の物語です(笑)

も:強いて言うなら、見所はどこですか?

す:やっぱり、生演奏であるってことと…あと、MCバトルの曲が、

も:MCバトル…!?

す:ラッパーが、二人で、こう、ディスり合うやつ。あれをイメージした曲が(笑)

も:えええええ(笑)私の中の、音楽劇のイメージが。

す:似た曲やっても飽きるから。18日にしかやらない曲、19日にしかやらない曲もあります。あと、出演者みんなで賛美歌を歌うシーンがあるんだけど、それはめっちゃ練習してる! ♪〜(一節うたいだす)

も:(ザワッ…)

す:ハハハハハ(笑)まあ、そんな感じです。

も:実際動いてみて、どうですか?

す:メンバーを選んだり脚本考えたり、日程決めてリハしたりっていう時間は、すごく楽しい。でも、集客のことがずっと頭の中にあるから…(笑)

も:ライヴを観に行くお客さんって、予約するって感覚があまり無かったりしますもんね。

す:そうそう。本当はね、全然知らない人とかにも観て欲しい。でも、たをやめのファンはとりあえず来てね(笑顔)

も:すずさんファンめっちゃいますからね。直接話し掛けたことない人もいるかも知れないけど。

す:え〜!?そうなんだ、チラシ配るから、来いよ。そして予約をしてくれよ。

も:(笑) 19日のS席は完売ですが、一般席は両日まだまだ余裕があります。ご予約をお待ちしております!

す:そうだそうだ〜!(フェードアウト)

 

『ごろごろにゃーん』という世界観をお客さんにより一層楽しんでもらおうと、楽しい仕掛けを色々と準備しているボリショイsuzumiki。観劇しながら美味しいおつまみを食べて欲しくて、魚肉ソーセージの老舗『西南開発株式会社』様の提供で元祖魚肉ソーセージを来場者全員にプレゼントしたり、壁に絵の展示をしたり、二日連続で来るお客様のために『間違い探し』(1日目と2日目で起きる5つの変化を探し当てるイベント)を用意したり、スペシャルカクテルを準備したりしますよ。盛りだくさん!楽しみですね。

そして今週末、7/5(土)には、この日取材でもお邪魔した四ツ谷『小さな喫茶店homeri』にてsuzumikiワンマンLIVE(スペシャルゲスト:ハニィ・ダイヤモンド!)、7/6(日)は下北沢音楽祭でsuzumiki2ステージがあります。suzumiki気になる!って方には、持ってこい週間ですね。

実は、9月からバークリー音楽大学への留学が決まっているすず奴さん。今回の音楽劇が、渡米前最後のsuzumikiライヴとなります。皆様どうかどうか、お見逃し無く。

劇場『新世界』にて、お待ち申し上げます!

suzumiki2
「こ、これが噂のギョニソー(魚肉ソーセージ)か〜!」

★スペシャルCMも要チェック!
CM
https://www.youtube.com/watch?v=faekK4Tf23I
 

【公演情報】ボリショイsuzumiki音楽劇『ごろごろにゃーん』@音楽実験室 新世界
7/18(金)開場19:30/開演20:00、7/19(土)開場18:30/開演19:00

【出演】
主人公ミック・ジヤガ:吉村幹生(suzumiki)/ ヒロインハニィ・ダイヤモンド:ハニィ・ダイヤモンド(Betty Angelica)/ ドラエモーニュ:ピンQ(Buri♡Cama)/ 面接官:ねるやま(ねるやま研究所)/ 天使:すず奴(suzumiki、たをやめオルケスタ)

クラリネット:中村有里(elekibass)/ テナーサックス&フルート:加藤順子(たをやめオルケスタ)/ トランペット:チャンケン(Video Brother)/ トロンボーン:すず奴 / チューバ:菱沼尚生(ハチャトゥリアン楽団)/ ビブラフォン:中里ゆきの(たをやめオルケスタ)/ ギター:宮城由泳(Yue’s Bumping Jam)/ ベース:デジ(Gentle Forest Jazz Band)/ パーカッション:むーぴー(2B)/ ドラム:金澤沙織(たをやめオルケスタ)

シナリオ、作編曲:すず奴 / 映像協力:ねるやま、大野要介(stopmotion.jp)/ DJ:ビブラスキ(Betty Angelica)

【料金】
・予約 S席(猫席)前売 5,000円/二日通し券 6,000円/一般 3,500円
・当日 4,000円
※19日(土)のS席のみ完売しております。

【ご予約】
※備考欄にチケットの種類をお書き下さい。
18日 http://shinsekai9.jp/2014/07/18/suzumiki1/
19日 http://shinsekai9.jp/2014/07/19/suzumiki2/

2014年7月4日