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出演/南流石(ヴォーカル、ダンス)、EBBY(ヴォーカル、ギター)、エマーソン北村(キーボード)、西内徹(サックス、フルート)、服部将典(ベース)、スティーブ エトウ(パーカッション)、関根真理(パーカッション)
ゲストヴォーカル/こだま和文(ヴォーカル)、桑原延享(ヴォーカル/from Deep Count)

取材、テキスト/エンドウソウメイ
写真/門井朋

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南流石&エマーソン北村

 遡ること、約2年半前の2012年11月2日、3日の両日、「あのじゃがたらの名曲の数々を、南流石が舞い、渋さ知らズが奏で、そして、こだま和文が唄う。」と題し、伝説のロックバンド“じゃがたら”楽曲括りでのイベントが新世界にて行われた。
 3.11の傷も癒えぬその時期、フロントマン故江戸アケミの残したリリックがより鮮明に浮き彫りとなる震災以降のある種のアティチュードを示唆したリアルなアクトとなった。
 さて、世相は更なるデストピアの様相を呈すが、“結成○○周年”(実質36周年)の節目でもなく、何故ゆえ今“じゃがたら”の楽曲をライブで蘇らせる必要があるのだろうか?
 じゃがたらのメンバーであり今回出演頂くエマーソン北村が面白い現象を語ってくれた。
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エマーソン北村
 
 「僕の過去の音楽活動の中でじゃがたらは、活動停止になってしまったことも含め、大きな体験だったということは今も変わりはないんですけど、最近になってかなり年下の、じゃがたらをリアルタイムで体験していないミュージシャンの子等から、『じゃがたらが凄く好きです』とか、『影響を受けています』みたいな言葉を聞く機会がここ数年増えていて。そんな出来事はもの凄く僕自身刺激を受けますね」
 じゃがたら再考の兆し大いにあり!
 実際、今回の出演メンバー、服部将典(ベース)はじゃがたらフリークであり、西内徹(サックス、フルート)からも以前、「篠田(昌已)さんに憧れていた」と聞いたことがある。
 お気付きだとは思うが今回の編成は非常に変則である。なにせドラマーが不在なのであるから。
 「無いのもは潔く無しとする」。今回の編成にはそんなシンプルな覚悟が感じられる。
 フロントマン、セクションの要、リズム隊とじゃがたらは核となるものを既に消失しているバンドなのだ。
 だが、その希有なパーツを往年のファンは求めているのも事実なのである。
 同じくじゃがたらのメンバーであった南流石はこう述べる。
 「じゃがたらをやる時の大きな課題はたくさんあるね。どんなに願ってもあの頃には戻れないし、いないメンバーがいるんだもん。でもこうやって新世界から提案があって、それでも『やりたい』と思う事実こそが私にとっては重要だよ」
 もうひとつの懸念。じゃがたら中期以降のサウンドの牽引者であったotoの不在……。
 エマーソン北村はその懸念にこう応えてくれた。
 「じゃがらたってバンドなんで。確かにotoちゃんがアレンジの中心になっていたってことはあるけど、スタジオミュージシャンのようにアレンジを再現していた訳ではないんで。むしろ、otoちゃんが言っていたことは、『各々の楽器で曲にどういう向き合うのか?』ってことを一番言っていた。だから今回も一緒で、参加する人達の力でそれが出来れば良いな、っていうだけですね」
 南流石が追従する。
 「なんかさぁ〜、問題ないんだよ、多分。なんにも。あっちゃおかしい。だって、音楽の本質ってそういうもんじゃないの?産んだものは残ってゆく。作者は死んでも楽曲は生き続けて、それに立ち止まったり耳を傾けたり、実際に、『やってみたい』と思ったりする訳じゃない。それは、『やっていいですよ』ってことで残してるって思うんだよね。音楽って。『お前はお前の踊りを踊れ』ってことよ。人間は全員確実に死に向かっているから。それよりもゴミじゃないものを産んで残す作業をしなくちゃいけない。今回のライブもその一環ですよ」
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南流石

 otoに関する話題に及んだところで、南流石が興味深い話をしてくれた。
 実は昨年9月、南流石はotoが現在暮らしている熊本を突然訪問したのだ。
 「会ったよ、otoの誕生日(9月11日)に。敢えて何も言わないで、『突撃! 隣の晩ごはん』風に。熊本にアポ無しだよ(笑)住所だけを頼りに行ったんだけど、あいにくotoがいなくて畑の真ん中で座って暫く帰ってくるのを待っていたの。“みちくさ”だよね(笑)その時、私がイメージしていたのは、『otoに執って最大の嬉しい日にしよう!』ってこと。そうこうしてたらotoが帰って来て、死ぬ程びっくりして、死ぬ程喜んでた(笑)そっから、泊ったりして、まぁ〜、かつてないくらいに語りましたね。人って、環境と景色と空気と食べ物、もちろんそれだけじゃないけど、そういういろんな要素で、こんなにも穏やかな心持ちになるってことを初めて分かった。開放かな?あの人は次のステージに確実に行ったね。なんか上がった感があった。まぁ〜、良かったよ、死ぬ前にもう一回会えて(笑)」
 
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南流石&oto(熊本にて)

 エマーソン北村は昨年、一旦のキャリアの集大成とも呼べる良質なアルバム「遠近(おちこち)に」をリリースしている。今回のライブと非常に近い時期である故に、その新作での音質はじゃがたら楽曲括りのライブプレイにも反映されるものなのだろうか?
 「むしろ逆なんじゃないでしょうか?僕のソロ作品は、『じゃがたらをやっていた』って記憶の上に成り立っているんで。普段は今やっていることなので特にじゃがたらを意識することはないんですが、自分で振り返ってみると実はあるんですよね」
 南流石も即座に同意する。
 「非常に面白い話だし、それはきっとEBBYもそうだろうし、で、私もそうじゃん。凄い良い影響を受けたってことだよね」

 さて、間近に迫る「じゃがたら新世界2015/Reborn of a rebel song.」。
 往年のファンはもとより、追体験世代も巻き込みそうな今回のライブ。その音楽的聴き所をエマーソン北村にレクチャーしてもらい、この項を締めようと思う。
 「僕はじゃがたらはファンだった時期と、実際にやった時期だと、実はファン時代の方が年数にすると全然長いんですよ。そのくらい、じゃがたらは長い年数に渡って音源を作っているんで、その音楽的な移り変わり、ストーリーが非常に面白いバンドと思うんですよね」
 大河ドラマを連想する、パンク〜レゲエ〜ニューウェーブ〜ヒップホップ〜ワールドミュージックと紡ぐ“広大なソニック・ケミストリー”。
 オーディエンスの焦点は定まった。あとは当日そのドラマに身を委ねるだけ。
 最後に南流石がこんな素敵な言葉を添えてくれた。
 「今回もバンドの人達の苦労をよそに、私とこだま(和文)はスゲ〜嬉しく乗っかって行くんだろうなぁ〜(笑)今から既にめちゃ嬉しいよ!」
(当公演はこだま和文氏の病後復帰初ライブともなります)

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下北沢「カメラ」にて取材

5/22(金)、5/23(土)「じゃがたら新世界2015/Reborn of a rebel song.」

両日とも
Open/19:00
Start/20:00
料金/予約:4860円(税込)
※85名限定
※入場時別途ドリンク代必要となります。
●チケットのご購入は
5/22→http://peatix.com/event/84881
5/23→http://peatix.com/event/84886
注)当公演は「新世界」への、ネット、電話でのご予約は受け付けておりません。お気をつけ下さいませ。

2015月05月05日