文字サイズ: | | オリジナル

不定期に、テーマを設けず、ただ個人的に気になる人と話をしてみようという企画『思考回路チラ見せ会』。記念すべき初回に登場してくれたのは、“360°前髪”こと前髪ちゃん!

「前髪ちゃん、インタビュー受けてくれない?」「8割ウソつきますけど大丈夫ですかね?」「うん、いいよ」というやり取りののち、パフォーマンスや日々のあれこれについて話を聞いてみました。

※(前髪後日談:)=前髪ちゃんによる追記。テキスト版副音声としてお楽しみ下さい。

インタビュー/文:moё

maegami
——————–
■前髪 プロフィール
2010年誕生
——————–

■前髪ちゃんの起こり

moё(以下、m):最初に会ったのは、去年の6月の『SRAP寄席場』(※)だったね。
※SRAP寄席場2014@アサヒ・アートスクエア
http://ab-srap.com/?p=4384

前髪(以下、前):そうそう!そうですね。

m:たをやめオルケスタの女将、岡村トモ子氏がコメンテーターやるっていうから、面白そう!と思って観に行って。そしたら前髪ちゃんが『前髪晩餐会』(※)っていうパフォーマンスやってて…

f8ef566918ff7f206200991a8e7780d31-300x151srap
※前髪晩餐会イメージ写真&出演者(観客)集合写真

m:あれは去年だから、2014年じゃない?でも、『前髪』自体のプロフィールって、

前:“2010年誕生”、ですね。

m:だよね。人前でパフォーマンスするのはSRAP寄席場が初、って言ってたから、誕生からの4年間、前髪ちゃんは何をもって『前髪』だったのかなって…。

前:フフフフフフフフ…

m:2010年に前髪が揃い切った、ってことでいいのかな。前髪ちゃん今20歳だから、当時15歳とか…!?

前:そうですね、高校1年生のときに伸ばし始めて、その年の11月に揃ったんです。

m:そもそもどうして伸ばそうって思ったの?

前:そこに前髪が…あったから…。(前髪後日談:ウソです。)

m:(笑)進路とかさ、考えるタイミングじゃない?高校生って。

前:はい。

m:私は最初にパフォーマーの『前髪』として出会ったけど、普段所属というか勉強しているのは、東京芸術大学の音楽環境創造科。いわゆるアートプロジェクトを“運営する側”だよね。どうして、マネジメント側に居つつ、パフォーマンスをするの?

前:あまり違いは感じていなくて、自分の中で。あ!!真面目な話になった!!ごめんなさい!!

m:え、いいよ真面目で(笑)

前:一応、アートマネジメントのゼミには居るのですが、元々マネジメントだと思って入っていなくて。アートプロジェクトをつくる、それ自体を表現としてやりたいと思っていて、大学に入ったときから。

m:うんうん。

前:で、入って、一応マネジメントって名前が付いているので、マネジメント、って言ってやってるんですけど…、ですけど…!やってることは、ほぼ何か…こんな感じで。

m:サイトで見たんだけど、『前髪増殖計画』っていうプロジェクトをやってたよね。

前:やってましたね、大学1年の終わり、2014年になった辺りからですね。それまでは、ほとんど何もしてなかったです。様子見みたいな感じでずっと居て。

m:1年生からアートマネジメントの現場には関わるんだっけ?

前:はい、ゼミは1年生の夏から入るので。現場にはそのときからがっつり入って、参与観察しつつ、どうしようかな〜ってフラフラしてたら1年が終わりそうになっちゃって、「やばい!私何もやってない!」って。いきなり「やらなきゃ!」って思ってやったのが『前髪増殖計画』で…。

m:なるほどね。じゃあ、2年目に入って… あれ!?トビーさん!?こんにちは!
tobi
※レ・ロマネスクのトビーさんが突然お店に現れる。

トビー(以下、ト):すみません打合せちゅ…あれ? 前髪ちゃん!

前:こんにちは!前髪です〜〜〜!

m:わあ!去年の大文化祭ぶりですね!
※2014年10月に開催された「新世界4周年記念 大文化祭!」にて共演済みの二人
http://shinsekai9.jp/2014/10/22/bunkasai/

ト&前&m:その節は、どうも〜〜〜〜〜〜!

ト:あのう、すみません、フライヤーを届けに…

ということで、トビーさんに代わり告知です▽
=================================
【レ・ロマネスク情報】
扶桑社から6月上旬に公式ファンブック(新曲CD付き)が発売されることになったそうです!おめでとうございます!買います!

そして、発売記念ライヴ『ジュテームのコリーダ』も5/30(土)に行われるそうです。場所は、お向かいの六本木Super Deluxe!
https://www.super-deluxe.com/2015/5/30

日を同じくして新世界で『春の餅つき音楽会!』なる企画が開催されますが、ご安心下さい。餅つきは15:00〜なので、終わってから『ジュテームのコリーダ』(夜公演)に、ばっちり間に合います。なぜならお向かいだから! 5/30、六本木がアツい!

5/30『春の餅つき音楽会』詳細▽
http://shinsekai9.jp/2015/05/30/mochi/
=================================

m:いやあ〜、嬉しい偶然だったね!では、話を戻します。

前:はい。だから、『前髪増殖計画』は1年生の終わりから2年生の途中までやってました。

m:SRAP寄席場に出たのが、2年生の6月末だったね。

前:知り合いのプロデューサーの方に、やりなよって言われて、「やります!!」って。何もやったことないのに、何かできるだろうっていう変な自信はあって。

m:「やってみたい」、っていうのがあったのかな。

前:そうですね。1年生のとき本当に何もやらずに過ごしてしまったので、2年生はとにかく何でもやろうと思って。実は、司会とかも…。

m:司会…?

前:はい、よく遊びに行ってて、お世話になってるライヴハウス荻窪velvet sunでジャムセッション企画の司会を任されたんですけど、私、司会できなさ過ぎてズタボロで…。

m:え?ジャムセッションって普通にジャムセッション?

前:完全フリーなセッション…。でも、本当に人前で喋ることができなくて、ほぼ言葉を発さず終わりました!居るだけ!(前髪後日談:いつも思い出すたび土下座の勢いです。)

m:人前ってこと以前に、ジャムセッションで司会するって相当難易度高いよね…!それにしても、ステージに喋らない前髪ちゃん居たら気になるわ(笑)

前:だから、ちょっと、もう司会はやってないんですけど…。喋るのダメですキツいっす!キツいっす!

m:(笑)
————————————————–
■パフォーマー前髪
By6AZcvCYAAAfJ9

前:喋れないって分かったから、もう絶対喋らないぞ!って決心して、作ったパフォーマンスが、『前髪晩餐会』です。喋るんじゃなくて、バックの映像に文字が出る。

m:なるほどね、そうやってあのスタイルができたんだ。もし司会がバッチリ成功してたら、「続きまして〜」みたいな感じになってたのかな(笑)

前:やってたかも知れない(笑)

m:ステージでひと言も喋らないからこそ、みんな、初めて前髪ちゃんと喋るときびっくりするよね。

前:そうですね(笑)「普通の子だ〜!」って言われます(笑)

m:私も最初超びっくりしたよ。「あれ、普通だ」って。考えてみたら、その感想自体が変なんだけどね。

前:普段の、日常生活がこれですからね。“非日常を日常に持ち込んで、また日常を非日常に落とし込む”みたいな、ちょっと面倒くさいことをしているので、舞台の上に居ても、ショーっていう完全に切り離したものとはちょっと違う感じで。

m:そうだね、前髪ちゃんはそのままで色んなところを行き来しているだけなのに、周りが勝手に「どんな感じの人なの…?」ってなるね。ステージ観るとだいぶ親近感湧くんだけど。

前:ただラーメン食べてるだけですからね(笑)

m:ただ、最初に『前髪晩餐会』観たときは、正直どっちか分からなかったな。時間が短かったし、アサヒ・アートスクエアの空間もあいまって結構ストイックな感じに見えたから。だから、正確には、大文化祭でマツケンサンバ踊るのを観た瞬間からかな。「この人…!」ってなったのは(笑)

前:ありがとうございます(笑)マツケンサンバやっててよかった!小6から10年間、ずっと踊ってるんで! (前髪後日談:ウソです。正確には小5からです。)

m:新世界のスタッフもみんな普通に前髪ちゃんのファンだからさ、ブッキングミーティングのとき、二言目には「前髪ちゃんのワンマンやろうよ〜」って言うよ(笑)

前:ええええええええ(笑)!?

m:いつもオープニングアクトとかで出てもらってるから、「ワンマンだと尺がどうですかね〜?尺がね〜」って言ってるんだけど。10分公演10回まわしならいけるかな(笑)

前:それちょっとやってみたい!(笑)一回につきお客さん一人。

m:マンツーマン(笑)ステージっていうかもはや観る人が前髪ちゃんの居る楽屋に入室すればいいよね。

前:中で前髪がひたすらラーメン食べてるみたいな…。もう、それ展示になりますね。

m:あらゆる境界をね、越えて行って欲しいよ。

————————————————–
■前髪ちゃん出没フィールド

m:さっきも話題に出たけど、2014年10月22日に『新世界4周年記念 大文化祭!』って企画をやって、それで初めて新世界に来てくれたんだよね。
bunka1bunka2
※前髪ちゃん、大文化祭にて。

前:はい。萌さんに誘ってもらったから、これは好き勝手していいんだな!って思って。

m:ありがとう、一番大事なところをきちんと汲んでくれて(笑)そのあと、年末の『締めくくらナイト!』も出てもらってね。何かと定期的にありがとうございます!

前:いやいやいやこちらこそ本当にありがとうございます!こんなに呼んで下さるのは新世界だけでございます〜〜。

m:そういう風にライヴにも出るし、平行して面白い露出もしてるよね。パルコでモデル(※)やったり、本も作ってた?
※『絶・絶命展〜ファッションとの遭遇』/2015.03.19〜30@パルコミュージアムにモデルとして参加
http://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=751

前:『絶・絶命展』は参加しているデザイナーの方が知り合いで、声掛けてもらって。あと、本は、「まえがみたべる」っていう絵本を作ってました。

m:あと、音楽では、チャーリー・ウィリアムス(※)のメインビジュアルも手掛けてるよね。
※チャーリー・ウィリアムス
http://charliewilliams.jp

前:はい。自分がイベントに出るときにオリジナルの画像(※)を作って告知してるんですけど、それをスタッフの方が見ててくれて、ある日、「ああいうの作って!」ってオファーしてくれて。
By7oIqOCcAAOQ2hB5_y7tQCIAAh7Ku
※前髪ちゃん作、イベントごとの告知画像

m:デザインは元々やってたの?

前:いや。趣味…?(前髪後日談:ウソです。)

m:イベントに出たことなかったときは、作ってなかったってこと?すごい確立されてるから、作風が。

前:コラージュは、小さいときから好きだったんです。(前髪後日談:ウソです。)

m:小さい頃から?

前:小学校3年生のときに、地元の美術館でやってたコラージュのワークショップに連れて行ってもらって、それを夏休みの自由課題で出したんです。そしたらクラスの子に「こんなの誰でも作れる」って言われてすごい悔しくて(笑)、そこからコラージュへの執着が…。(前髪後日談:めっちゃウソです。)

m:思いのほか歴史があった…!

————————————————–
■前髪ちゃんのゼミ活動

m:今は何が一番忙しい?学校?

前:学校で携わっているプロジェクト現場は常に通っているので、そこは見つつなんですけど、自分が今年やるゼミの企画の構想段階で、3月からずっと練っていて…。

m:うんうん。

前:何やるかはまだヒミツなんですけど……。人がほぼほぼ来ないだろうなってことをやると思います。

m:当たり前だけど、同じ場所でのプロジェクトでも企画者によって全く雰囲気違うよね。私が行ったのは2012年と2013年だったな。

前:来てくださったのは2012年『谷中妄想カフェ』と2013年『谷中妄想ツァー!?』ですね。

m:忘れられないのが、妄想カフェで、提灯持ちながら谷中の街を歩いて、かつて三味線とかお琴のお稽古通りだった、っていう場所に差し掛かったときのこと。いきなり、ラジカセから三味線の音を流しながら、おじさんが自転車でフイ〜って通り過ぎて。

前:ほおお。

m:そしたら、当時の風景なんて見たことないはずなのに、想い出が立ち上がってくるような気持ちになって、しみじみして。

前:うんうん。

m:で、終わったあと運営の子に「あの、自転車で三味線の音流すの粋だね〜」って言ったら、「え?そんな演出組んでないです」って言われて(笑)、おじさんが勝手に参加してたことが発覚したの!

前:アハハハハ(笑)!

m:すごいよね、それって。

前:ミラクルしか起きないんですよ本当にあれは!谷中は変な人がウロウロしてて、そういうおじちゃんがいっぱい居るんです。

m:だから、お互いのすることを受け入れるってことが成り立つんだね。そういう場所なんだね。

前:はい。本当に。

————————————————–
■前髪ちゃんの作品づくり

m:個人的な制作で、こういうのがやりたい!みたいなのはあるの?

前:プロジェクトの企画も、自分のやりたいことに寄せて作ってはいます。ただ、今、映像作品も作ったりしているんですけど、まだ作品とプロジェクトが乖離したところにあるような気もしていて。自分の中では繋がっているので、本当はリンクさせたいんです。それを模索中。

m:なるほどね。こないだの『エモンドセレクション金賞受賞祝賀会』(※)でも映像作品出してたもんね。
※ティーム・エモZ『エモンドセレクション金賞受賞祝賀会』/2015.04.18〜23@高円寺pocke

前:去年一年間、美学校(※)に通っていて、映像ゼミに入っていたんです。映像作品を作りながら、プロジェクトについて考えながら…。
※美学校:http://bigakko.jp

m:映像勉強したくて美学校入ったんだ?

前:全然!

m:違うのか〜い!

前:たまたまです!(前髪後日談:ウソです。)

m:私、前髪ちゃんの作品好きなんだ。ちゃんと汗をかいてつくる感じがして。

前:ありがとうございます、嬉しいです。

m:作る人って色々だよね、原動力も参照点も。コンセプトに重きを置く人も居るし、社会問題とか枠組みがどうこうみたいなアプローチもあるし。その辺、前髪ちゃんは至ってシンプルな自己欲求で…。

前:はい、大体の始まりは自己欲求です(笑)

m:形として映像作品にはなっているけど、確認作業みたいにも見えるね。前髪ちゃん自身が身体を通して「なるほど、こんな感じか」って納得して進んでいくような。

前:妄想を全部、実行し続けるんです。

m:ティーム・エモZの展示では土の中を泳いだり、生卵潰したりしてたけど、今は蛇口に興味があるんだっけ?

前:蛇口もそうなんですけど…耳たぶですね。耳たぶに埋もれたい。あとはふぐの白子を産みたい。

m:おお…(笑)どう形になるのか、楽しみにしてます。

————————————————–
■前髪ちゃん GO FUTURE!
nenmatu
※2014年締めくくらナイト!!!にて、書き初めする前髪ちゃん。書いた文字は「増毛」。

m:前髪ちゃん、これからどんな風になっていくんだろうね。っていうか、前髪ちゃんが前髪ちゃんでなくなることも有り得る訳じゃない?

前:あると思います。

m:いきなりオンザ眉毛になって、「おはようございます!」とか言って。だれ〜?みたいな。

前:認識してもらえないですよね。

m:だからさ、これからも新世界に前髪ちゃん出て欲しいけど、私がブッキングし続けたら前髪切れないよね。「もう終わりたいんですけど」っていうときがきたら、気にせず言ってね。

前:大丈夫です!そのときは、新世界で断髪式やります!

m:泣いちゃう(笑)

前:その時までに、前髪メイトを100人くらい作って一人一カットしてもらおう。でも、死ぬまで前髪かも知れないし、分からないですよね、それは。神のみぞ知る…!

m:髪だけにね…!

—完—

いかがでしたでしょうか、『思考回路チラ見せ会 vol.1 〜ウソかまことか前髪ちゃん〜』。改めて言葉を交わしてみて、前髪ちゃんについて初めて知れた部分と、更なる奥行きだけが垣間見えたところと(主にこっち)で、まさにチラ見えなひとときでした。

前髪というヴェールに包まれながらも、前髪ちゃんはとにかく元気。元気アンド謙虚。謙虚且つ行動的。そんな姿を見ていると、大変に清々しい気持ちになります。お客さんはもちろん、共演者やスタッフからも、ときに孫のように、ときに弟子のように、ときに座敷童のように愛されまくる前髪ちゃん。「8割ウソって言いましたけど、2割におさまったと思います!!」と(前髪越しに)笑顔を見せて去って行った前髪ちゃん。これから益々フィールドを飛び越えた活躍を、楽しみにしております!今回はどうもありがとうございました。

=================================================
▽前髪ちゃん情報(@音楽実験室新世界)
・5/19(火)『新世界合唱サロン』参加
http://shinsekai9.jp/2015/05/19/gashow3/
・6/30(火)『上半期締めくくらナイト!』出演
http://shinsekai9.jp/2015/06/30/shimekukuranight/
=================================================

2015年5月15日