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 ジェネレーションを超越した普遍的ロックマインドで観るもの全てを虜にするArisa Safu。

 ビリリアントな未来を、力強く生命力溢れる歌唱で謳い上げる大久保理。
 本年5月14日「Arisa Safu×大久保理 2マンライブ」との、ストレートなタイトルで、
この「新世界」一押しシンガー2人のカップリングが店主導で実現した。
 実は、2人はまったく別の経緯で「新世界」との関わりを持った。
 Arisa Safuは、既にフジロック・フェスティバルにも出演を果たし、好事家の間では、バンドセット「Arisa Safu & the Rovers」名は既に話題に上がっていた、2011年2月20日ワンマンアクトとして「新世界」初登場。
 物怖じしない大胆なパフォーマンスは深く筆者の記憶に残った。
 
 大久保理は、震災の傷跡も生々しい2011年4月19日、フジロック、朝霧JAM等でオーディエンスを裏からサポートする「キャンプよろず相談所」チャリティーイベントに3バンドがタイバンする形で初登場。
 先行きがまったく見えない状況の中、音を求めて「新世界」に詰めかけた人々の、ネガティブな記憶の残像を真摯な詩世界と圧倒的な歌唱で溶かした。

 明けて2012年3月16日、ケニー井上(ex夕焼け楽団、exサンディー&サンセッツ)主催の「パラダイスカフェ」クロージングパーティーに両名ともゲストシンガーとして再び「新世界」のステージへ。
 この時、2人が親しくギターの貸し借りをしていたことを筆者は見逃さなかった。
 「2人をフューチャーしたイベントをやりたい」との希望を告げると、即座に快諾してくれた。
 前回の5月14日のジョイントは、Arisa Safuの音楽的アプローチが、より生身に、より深くルーツにと、微妙なマイナーチェンジがあり、以前にも増して2人の連動性がスムースとなる素晴らしい一夜だった。
 終演後、継続してのシリーズ化を視野に入れ、まず、2人にイベントタイトルの命名を要請した。
 そして決まったのが「『Old Ways』〜New finds in old times〜」
 あのニール・ヤングのニューカントリーの名盤から名付けられた、意味深な深層部も含め、2人の出会い、音楽に行き着いた道程、そして、いよいよ7月16日より始動するライブシリーズの抱負等をフランクに今回語ってもらった。

エンドウソウメイ(以下E):まずは、二人が知り合った切っ掛けはどのような感じだったのでしょうか?

大久保理(以下O):横浜のライブハウス「サムズアップ」(注:Arisa Safuの父親が経営する横浜の有名ライブハウス)ですね。
 6年位前から「サムズアップ」に出させてもらうようになりまして。

Arisa Safu(以下A):その前から、わたしは凄いいろんな所で既に理を見ていました。
 顔見知りの時間が相当に長くて。
 印象的には、なにか「読めない人だなあ」って思っていました(笑)

O:何で!?(笑)

E:知り合ったのが6年前ってことは、「ふれあい」(注:大久保、ソロ活動以前のメジャーデビューも果たしたパーマネント・ユニット)は終わっていたのでしょうか?

O:終わってましたね。
 ソロ活動を初めて1〜2年目位でしょうか。

A:「ふれあい」は、実はわたしはまだ聴いたことがないんです。

E:その頃は、Arisaさんは既にシンガーとして活動していたのでしょうか?

A:いや、わたし、唄い始めてまだ浅いんですよ。
 今も含めて、ずっ〜と楽器をやっていて、「SUPERGoooooood」というバンドでライブ中心にサックスを吹いていたんです。

E:ホーンが入る感じでしたらファンク的なバンドだったのでしょうか?

A:う〜ん………、ロック…かな?

 まずは導入部として、ジェネレーションが微妙に違う2人には“グッド・オールド・タイム”を好むという不思議な共通項がある。
 この辺りの約束されていたかのような調和は何故故に?

O:皆さんから見るとそうなんですかね?
 小学生の時からサイモン&ガーファンクルが好きで。

E:ビックネームとはいえ、大久保さんの世代的には、サイモン&ガーファンクルが好きというのは珍しくないですか?

O:確かに周りに、あまりそういう感じの人はいなかったですね。

E:一方、Arisaさんは“超”が付く程、好きな音楽とジェネレーションにギャップが(笑)

A:同い年の人達と音楽の話が出来ないんですよ……。

E:それは昔から?

A:うん、昔からずれていて。
 その時その時、流行っている音楽を耳にはするんですけど、実際にフェイマスな音楽は、今でも私が好きな70’sの音楽だと思い込んでいた位、いつも周りで70’sの音楽が鳴っていたんです。
 初めて連れて行ってもらったライブがドゥービー・ブラザーズですし(笑)
 あと、デヴィッド・リンドレーとか(笑)
 ですから自分的にはその辺りの音楽が不動のメインストリームだと思っていたんです。

O:ワハハハ(爆笑)

E:オールマン・ブラザース・バンドとかが、ティーネイジャーの憧れだと思っていた?(笑)

A:イーグルスなんて私の中では“どメジャー”でしたもの。
 ビートルズ級の存在(笑)
 そんな認識の中で特に酷かったのが、ハワイ人の2人組で、セシリオ&カポノって人達がいて。
 70年代後半にカリフォルニア等で人気があったんですけど、彼らの曲は世界中の皆が知っているものだと完全に思い込んでいました(笑)

E:セシリオ&カポノ!?
 ボク等世代の好き者は知っていますけど、世界中ではさすがに(笑)
 重複しますが、ずれていたと言えば大久保さんのサイモン&ガーファンクルも思えば周りと相当にずれていませんでしたか?

O:まあ、当初はそうでしたけど、中学位からは、普通にガンズ・アンド・ローゼズとかハードロックを聴いたりとか。

 さて、“グッド・オールド・タイム”という確かな共通項がある2人なのだが、一方で、育った環境がまったく違う。
 前述したように、Arisa Safuの実家はライブハウス。そして、大久保理の実家は弁護士事務所を営むという硬軟の極地。
 音楽に行き着いた過程も相当に違うのでは?

E:音楽的環境に関してはArisaさんは揃いすぎ位に揃っていたと思うのですが、大久保さんはどんな感じで音楽を志すようになったのでしょうか?

O:親からの影響でというのは全然ないですね。
 でも、小学生の時にヴァイオリンを習っていました。

A:わたしもヴァイオリン習っていた(笑)

E:意外にも“ヴァイオリンのお稽古繋がり”だと!?(笑)

O:実は、そうだったんですね(笑)

A:ハハハハ(笑)あんまり格好良くないね。
 それだったらまだアルコール繋がりの方が良かったな〜(笑)

 更に2人にはもう一つ大きな異差がある。
 大久保理は日本語を非常に大切にしているシンガー。一方、Arisa Safuは国内でのパフォーマンスに関しても英語での表現を主としている。
 2人にとっての、言葉と音の関連性とは果たしてどんなものなのだろうか?

A:日本語での教育を受けたことがなくて。
 尚且つ、日本語の本を1冊も読んだことがないんですよ(笑)
 日本語は勿論読めるんですけど、漢字は苦手ですし、読んでいて疲れちゃうんですよね。

E:Arisaさんは作詞は英語で作る方が作りやすいですか?

A:そうですね。
 過去、書いてる言語の数が圧倒的に英語の方が多いということと、素直に書きやすい言語を選んでいるってことだけなんですけどね。
 ですから、日本語で書きたくないという訳ではないんです。むしろ、日本語で書きたいという気持ちもあるんですが“書きたいけど書けない”に近いのかな?

O:ボクはもう、全然英語は喋れないし、タイトルとかには使うこともありますけど、英語の単語が歌詞に出てくることは、まずボクの場合ありませんね。
 言葉が伝わることは勿論いいですし、ボクはそれが好きなんですけど、ただ声を出すだけで伝わることってあるじゃないですか。英語だろうと日本語だろうと。
 唄ってその人の持ってるものがそのまま出るのもだと思うので、Arisaの英語には、ちゃんとArisaのエネルギーを感じます。

 明快な答えが出たところで、バイオリンを初期衝動?(笑)に、どんな過程の中、唄に2人は辿り着いたのだろうか?
 これについてはArisa Safuは明朗かつ雄弁だ。

A:小さい頃は獣医さんになりたくて、音楽はやっていたけど仕事にしようとは思っていなかった。
 大学(モントリオール/マギル大学)でも、その線で進んで、ちょっと“研究の道”へ迷い込んで(笑)その道のマエストロ達についていって勉強させてもらったり。
 もし、音楽に行かなかったら大学院に進んで、自分の研究を展開してゆくつもりだった。

E:かっこいいですね。

A:在学中にアフリカに行った時、サイの生存数が激減していて、どうすれば好転出来るのかを研究している人達に会って「これがやりたい!」と思った。
 そんな折、アフリカでは、英語もスペイン語もわたしの持っている言語体系では、全然、会話が通じない。それで、唄を介してコミュニュケーションを取るって貴重な経験をしました。皆も凄く喜んでくれて。
 その時、音楽って上手く使えばもの凄く幅広い人々に良い影響を与えられると実感したんです。今もその気持ちを持って活動しています。

E:素晴らしい。

O:素晴らしいっすね(笑)

A:フフフ(照笑)
 小さいときから地球に自分の意味?足跡を残したいって考えていたんです。

O:素晴らしい(笑)

E:大久保さんはそんな感覚は幼い頃ありましたか?

O:全然思ってない、ワハハハ(爆笑)

A:わたしが通っていたインターナショナル・スクールの教育って、日常的に、“世界情勢”とか“チャリティー活動”とか組み込まれていたから“そういうことは出来る”と思うようになったのかもしれないですね。

 昨今の2人の音楽活動に話を戻そう。
 「新世界」も含め、急激に2人が一緒に出演するシーンがここの所増えてきたのはなぜなのだろうか?

A:バンド(注:Arisa Safu and the Rovers)でやっていた頃は、黒壁の、俗にいうライブハウスってところでライブをやっていたので、理と一緒ってことが少なかったんですが、わたしのアプローチがアコースティックであったりブルース寄りになってから増えたと思う。

O:やたらと被るよね(笑)

A:被る(笑)
 お世話になっている人達も被るし、一緒に演奏しているミュージシャンも被るし。

E:Arisaさんから見て、シンガー大久保理はどんな印象なのでしょうか?

A:自分がバンドという形からソロになった時、前より唄が“ポ〜ン”と前に出るから、自分なりにもう一度唄をやり直した部分があるんですよ。
 その部分で理を凄く参考にしています。
 声を気持ちよく出しているし、どんな環境でも揺らがないものを持っている。 
 1人で世界を作るというか、十分1人でライブが成立しているでしょ。
 わたしはバンドをやめて1人になった時のクオリティーが酷いもんだったけど、理に刺激されて勉強したって所が実は大きいんです。

E:では、大久保さんは、シンガーArisa Safuにどのような印象をお持ちでしょうか?

O:唄い始めた頃からずっ〜と見ているんですけど、初期は緊張しているのが分かったり(笑)
 最近は、どんどんどんどん良くなっているって印象ですね。
 元々のArisaの性格が前より唄に出て来ていると言うか。

E:唄も勿論ですが、ギターも上手になった気が(笑)

O:ハハハハ(笑)
 Arisaのエネルギーがステージでスパークしてますね。

A:恥ずかしい…(笑)

E:今回、タイトル(『Old Ways』〜New finds in old times〜)も新たに、2人がオーガナイズ&アクトするイベントがいよいよ始まります。
 タイトルは、いかにも2人らしく、あのニール・ヤングのニューカントリーの名盤から命名されてますが、その辺のタイトルに潜む想いを教え願えれば。

A:わたしが勝手に決めちゃったんですけど(笑)
 若い人達がベテランに触発されて新しいものが生まれるってことが、以前は頻繁にあったと思うんですよ。
 昔から、そんな刺激を与えられる媒体みたいな存在に自分自身がなりたかったから、そんな場になれば良いなと思って付けました。
 一言に“昔の音楽”といっても、それを感じさせるのは相当なクオリティーが必要だと思うんです。
 それが出来る人が限られている中で、理はそれが出来るし、わたしもそうなりたい。

E:なるほど。Arisaさんが今いったイメージ通り、ご自身の今回のバンドのラインナップはカオスともいえるほど、離れたジェネレーションで構成されています(チャッピー/ex.カルメンマキ&0Z,dr.、川上シゲ/ex.カルメンマキ&0Z,ba.、倉井夏樹harp.)

A:このイベントで世代をミックスした中で、若い方が引っ張ってゆけたらな〜って感じかな?
 ゆくゆくは年齢とか世代を問わず、素晴らしいミュージシャン達が集まるイベントにしたいので。

E:大久保さんは今回の驚異の年齢差の「Arisaバンド」の編成を見てどう思いましたか?

O:ね〜(笑)
 凄いですよね〜。
 ボクも出演する訳ですけど、単純にこのラインナップを見れることが自分自身楽しみです。

 さて、最後に、7月16日から始まる「『Old Ways』〜New finds in old times〜」の開催に際しての抱負を貰ってこの項を締めよう。

O:素直に2人でイベントが出来るということは嬉しいし、

A:うん、凄く嬉し〜。

E:いや、こちらとしても、「新世界」で唄ってもらっている沢山の方々の中で、もっと皆に知って貰いたい2人ですから。こちらこそ光栄です。

A:嬉しい〜(笑)
盛り上がるように、ホント頑張ります。

O:頑張ります。

 日時いよいよ迫る。
 7月16日/海の日。
 湘南の風と、浜風が西麻布でディープカットな波を起こす。
 波が去った後には、新しく懐かしい“Old Ways”なエクソダスへの道しるべが残るはず。
 必見です!

Photo ⓒ片岡一史
 
白金高輪「クーリーズクリーク」にて
※ご予約は→http://shinsekai9.jp/2012/07/16/oldways/


Arisa Safu/プロフィール
Arisaは日本と韓国のハーフ。
ボラボラ島の海の底からナイル川の源流、スイスアルプスからアリゾナの砂漠までを旅する小っちゃな地球人。5カ国語をこなす。
カナダ留学中に音楽に目覚めバンドに参加そのバンドが国際バンド合戦にカナダ代表としてロンドン決勝へ。その後アフリカの旅を経て帰国後2009年に自身のバンドArisa Safu and the Roversを結成。その年GBOB大会日本決勝でベストアーティスト賞&ベストボーカル賞をダブル受賞。翌年、FUJI ROCK FESTIVAL 2010 GYPSY AVALONステージに立つ。2011年はKDDI新技術自由視点映像でCEATECデビュー!2011年後半からはソロ活動を勢力的に行っている。
1960~70年代ウェストコースのにおいがする音、エネルギー溢れるライブは必見!
http://www.arisasafu.com


大久保理/プロフィール
1978年生まれ。山羊座、A型。鎌倉在市住。
「simon&garfunkel」に憧れ、中学3年生の時「ふれあい」を結成。2000年のメジャーデビューを経て、2003年まで約10年間「ふれあい」として活動。
2004年、新たな決意を持ってソロ活動をスタート。ソロ大久保理としての1st.ミニアルバム「僕の手の中に」を2005年5月16日にリリース。イベント、ライブハウス、バーなどで精力的にライブ活動を行い、2008年3月6日アルバム「灯す日々」をリリース。

2012年06月28日