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 ここ数日間、新世界のTwitterタイムラインの多くを埋めるこのイベントなのですが、題材が80’s最重要バンド「じゃがたら」だけに、コアなファンの方々から“唐突”との批判もありそうなので、ここに至るまでの経緯を、筆者の私的部分も含め記してみたいと思います。
 筆者がパンクバンド以降(otoさん加入後)のじゃがたらの音を知ったのは、今は無き「インクスティック芝浦ファクトリー」のライブフライヤー制作をアルバイト的にやっていた85〜86年頃だと思います。
 実は、じゃがたらのフライヤーをやる感じが若干あって、勉強も兼ねて聴いたと思います(残念ながら制作までには至らなかったのですが……)
 始めて聴いた後期じゃがたらは、レゲエ、ファンク、ヒップホップ、そしてフェラ直系のアフロビートは言うに及ばず、アフリカ各国のリディムエキスを芳醇に含み、フリージャズ〜チンドンという日本固有の重厚なホーン隊を配した巨大なダンスバンドと化していました。
 当時、輸入盤しか購入しない、こまっちゃくれた音楽ユーザーの筆者が、日常的に聴いていたサウンド・プロダクトを全て放り込んだ、正に“異種交配”という言葉がピッタリなバンドでした。
 ただ、この時点で、名著「じゃがたら/陣野俊史著」のメンバー発言にもあるように、江戸アケミ氏をフェラ・クティに見立てて造り上げたことは、如実に筆者にも理解出来たのですが、氏の放つ現代を撃つ、閉塞するリアルと直結する深層部分には考えも及ばなかったのもまた事実です。
 筆者にとってのじゃがたらの復活は、2003年に行われた「江戸アケミ十三回忌 天国でのゴール!」での一連のライブでした。
 その間に音楽ジャーナリスト高橋健太郎さんのバットニュース誌での連載で、旅先のパリで知ったアケミ氏の訃報を主題としたエッセーに拙画を寄稿させて頂いたことなどもありました。


 あの、世界が分岐した9/11以降となる、前述「江戸アケミ十三回忌 天国でのゴール!」を、現在も表紙画を担当させて頂いている「ライスペーパー88」の要請で取材させていただきました。
そこで、見聞きした江戸アケミ的なるものは、以前とは比べ物にならない程増幅され、資本主義社会からサスティナブルに移行する世相にリアルに並走していました。
 “東京ソイソース”という幻影のムーブメントの信者であった筆者の中で、その母体から“じゃがたら”のみが切り離された瞬間でもありました。
 そして、このイベントのハイライトは何と言ってもこれでした。

YouTube「JAGATARAの南流石だ」
http://www.youtube.com/watch?v=_UuOJCu4-tY&feature=related
 感動しました。
 終演後、流石さんはこう記しています。

 〜毎回、唄うのも踊るのもこれが最後になるかもとの覚悟に似た気持ちでステージにあがる
やり残したことはないのか?お前はお前の踊りを踊っているのか?と、あっちゃいけないと、生きてきた様をぶつける。
 昨日、CLUB CITTA’での「じゃがたら祭り」とてつもないたくさんの人たちが、この祭りをかけがえのないものにしようとの
ここまでの日々は、苦あれば楽ありそのものだった。それだけに祭りのあとは、淋しく淋しく…最高だった
「じゃがたら族」としてのライブはかつてのメンバー、そして、JAGATARAを愛するミュージシャンが集まって
そのあたたかい音の中、自分は高揚を押さえきれず声を出し、体を音にあずけたこれが最後でもいいかもしれないと本気で想った。
 客席に創られた祭壇
JAGATARAメンバーのアケミ、なべちゃん、しのちゃんの遺影に見守られ、自分は小さな子供のように何も考えず、自然なままだった
ライブが終わったあと、メンバーはみんな興奮していた、誰もすぐ帰ろうとせず、JAGATARAの中に気持ちよくただよって話をしていた…。
 そして、自分にとってすごいことがあった。それは祭りに出演してくれた「渋さ知らズオーケストラ」のライブにも参加したことだ。
「渋さ」は数年前、何も知らずそのライブを観てJAGATARAがなくなったあと、はじめて居場所をみつけた様な衝動があったバンドだ。
何度かライブを観て、いつかきっと逢えるとひそかにワクワクしていたその「渋さ」の音の中に昨日、自分はいることができた。
 リーダーの不破さんは、人づてに自分が「渋さ」で踊りたいと言っているのを聞いていた、そして「逢いたかった」と言ってくれた。
「渋さ」のライブではJAGATARAを充分過ぎるほど思い出させ、何度も胸が痛くなりでも体はその音を楽しんで踊った。
不破さんはステージで「JAGATARAは、僕が世界で一番好きなバンドだから、この祭りに参加できたこと本当にうれしい」と言っていた。
又、ひとつ大きな幸せな出逢いがあったのだ。まじで生きててよかったと想った…。
 そんな濃いオールナイトの「じゃがたら祭り」自分が最も敬愛するDEEP COUNTの魂のライブも圧巻だった。
いつも以上、集中しているノブの叫びに感動した。直接、話ができなかったのでここでDEEP COUNTにもお礼を伝えたい「ありがとう」
苦あれば楽ありだった、「じゃがたら祭り」たくさんのことを想いたくさんのお土産を皆にもらった。
参加してくれたミュージシャン、スタッフ、お客さんすべての「じゃがたら族」に感謝です。
そして、今、その昨日のライブ映像を観ながら泣きました。感謝以上です。「足音」が今でも聞こえています。
アケミ、なべちゃん、しのちゃん、JAGATARA、ありがとう。あたいは踊るよ。


南流石〜 

 2010年、ライブ・レストランバー青山「Cay」を作ったストリート(遊び場)の先輩、一作さん(現新世界オーナー)からブッキングの仕事の依頼があり、新世界に関わるようになりました。
 新世界最初期、じゃがたらの南流石さんにダンスイベントをお願いしようと、一作さんは氏とミーティングをし、その足で流石さんを店に連れてきてくれました(なんと、流石さんは『Cay』オリジナル・スタッフだったのでした)
 その夜のライブは謀らずも、江戸アケミ氏をリスペクトする三宅洋平君が出演しており、終演後、初対面とは思えぬ程に流石さんは洋平君と楽しそうに歓談されていました。
 一作さんからは「南、じゃがたらをやりたいみたいだから、お前、好きでしょ?やっといて」と、最重量級の宿題を、ポイっとジャラ銭を放るように筆者に手渡したのでした。
 なんでも、アケミさんのお誕生日を祝いたいという趣旨とのことでした。
 2人のミーティングの記述はコレだけです(笑)↓↓↓

 時は過ぎ、3/11以降、連載インタビューで流石さんにお話を訊く機会を筆者は得ます。
 当日、たまたま松竹谷清さんが上京されていて「清と会うんじゃない?」と流石さんが呟くと、30分後に本当に出くわしてしまった引きの強さにほとほと感心したことを覚えています。

 そのインタビューで知ったことは、流石さんは、未だ“じゃがたらを生きている”ということでした。
 懸案となっていた新世界でのイベントも、日々のアケミさんとの交信で「今、オレのことなどやっている場合か!」と止められたと言うのです。
 案件は一旦、暗礁に乗り上げました。
 ただ、一縷の望みは僅かに残されました。
 「渋さとまたやりたいから不破さんに会ったら言っといて」とのメッセージを頂いたのでした。
 流石さんはそのインタビューでこんな言葉を残しています。
 「じゃがたらで修行した私が、中途半端に修行寺を追い出され極寒の中彷徨い続けて、どこかの良い人が家に上がらせてくれて暖かい火にあたらしてもらったみたいなさ(笑)
 渋さはお家じゃないんだけどさ『あなた、火にあたんなさい』って言ってもらったみたいな、そんな温かさを凄い感じたね」

 本年4/12「ハジメ(exミドリ)×バーバラ村田×不破大輔×熊坂るつこ」という特異なセッションで久々に不破さんが新世界を訪れました。
 終演後、舞台上至近距離でお互い片付けをしていた時、意を決し不破さんに尋ねてみました。
 「流石さんが渋さとまたやりたって言ってるんですけど」
 不破さんは、戸惑うでもなく、思案するでもなく「いいですよ」とあっさり快諾してくれました。
 ただ、条件として新世界の奈落部分を流石さんのダンススペースとして埋めて欲しいとのことでした。
 「あの人はダイナミックなダンスをする人ですから」との説明付きで。
 故に、今回、客席部分が狭くなり限定80名とさせて頂きました。
 さて、3/11以降清志郎さん同様アケミさんの予言者としての存在は増々増大しています。
 「つながった世界」の冒頭のMCを記します。

 〜地球がね、ここまでめちゃくちゃになったんだよ、原子力発電所とか出来ちゃって。じゃ〜、それから人間は何処へ行くんだよ。もう、やばいぜ。あと10年後は。
 ノストラダムスの予言は外れるとは思うけど、やばいぜ10年後は。地球人が。地球人そのものがやばい。それからオレ達は、地球人はどうするかということだよ。日本人は。じゃがたらはBMGは。それから〜

 今回の音楽監督は不破さんです。
 このイベントは、じゃがたらの音楽を再現するイベントではありません。
 あくまでの“不破版じゃがたら”とお考えください。
 じゃがたらのエキスは、流石さんと、急遽駆けつけて頂くEBBYさんが注入してくれると思います。
 80’sの「東京ソイソース」の空気はこだまさんが届けてくれるはずです。
 そして、閉塞する時代の抜け道をじゃがたらを知らない世代と一緒に探れるイベントになると嬉しいです。
 きっと、抜け道などなく、ガッツで乗り切るしかないのでしょうが。

 皆様のご来場を心よりお待ちしております。


新世界10月店頭展示ポスターⓒエンドウソウメイ 

2012月10月12日