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最新新世界ライブ:
2/27(土)“Original SHINSEKAI Final Count down4”こだま和文 from DUB STATION@新世界 vol.16「もうすこし此処で」
出演/こだま和文from DUBSTATION W/DJ-YABBY
御予約、詳細→http://shinsekai9.jp/2016/02/27/kodama16/

取材、テキスト:エンドウソウメイ
写真:片岡一史

 3/31(番外編4/1)に5年半に渡る音楽実験を終え、静かにその扉を閉じる西麻布のライブイベントスペース「新世界」に関し、こけら落とし以来レギュラーとして多くの濃密なライブを展開したあのダブマエストロこだま和文が振り返る。
 新世界終焉にはからずも合致したバンド活動の再始動の内幕はもとより、彼だから知る新世界のインサイドと現実社会との隔離等多義な話題から新世界のオルタナティブを語ってもらった。
 2回に渡り掲載するダブマエストロのこの金言群、これも「新世界」のアナザーサイドの実験の一つです。

エンドウソウメイ(以下エンドウ):今回の「もうすこし此処で」は新世界での何回目のワンマンアクトか覚えてますか?

こだま和文(以下こだま):分からない。

エンドウ:16回目。

こだま:へ〜。

エンドウ:ですから「こだま和文 from DUB STATION」名義は一応16回なんですが、実はワンマン以外でもう1回出演されています。なんのこっちゃい西山さんの自主企画「みちくさスペシャル」。エマーソン北村さんとミュートビートの楽曲をデュオでやられた、

こだま:あっ、そうだ思い出した。あれな。

エンドウ:ですので、こだま和文 from DUB STATIONでは厳密には17回。それ以外に客演、要はゲストなんですがこれが2回。西内徹バンドと、

こだま:ああ、

エンドウ:Coba-Uバンド、厳密には田村玄一バンドと云いましょうか?

こだま:ああ、やりました。

エンドウ:確かCoba-Uさんへの選曲はこだまさんがされたんですよね。

こだま:うん、そうだよ。「アニーローリー」と「ケセラセラ」。

エンドウ:あとですね、出版記念(『いつの日かダブトランペッターと呼ばれるようになった/こだま和文』)のトークショウ、with南流石、川上シゲ。

こだま:あと、吉澤はじめくんとのセッション。あれも1回きりだけどあったんだよな。

エンドウ:そうですね、あれは、こだま和文 from DUB STATIONのゲストでバースデイスペシャルとして行われました。

こだま:あれは凄いことだったんだよ。

エンドウ:そうですね、あのデュオは今に続くものになりましたものね。
ボクはあのお二人の音源が非常に欲しいファンの一人ですね、是非作ってください。

こだま:だから、「レコーディングをしよう、しよう」と言いながらもね、なかなか整わない訳だよ。
つまりCDを出すってこと自体が今の音楽業界の中であまり意味を成さない。
だから自主制作か?……。
ってのがあるからさ〜、……、なかなかおぼつかないのが実情なんだよ。
これは、時代のせいにするよ!

エンドウ:はい、してください。

こだま:うん、はっきり。
だってそうだもの、そこに、「お金をかけよう」と思う人がいない訳だから。
不毛だよ、不毛。そういう時代に大分前から突入してるからさ〜。

エンドウ:……。

こだま:だから、清原がね、ああいうことになるんだよ。
音楽業界じゃないけど、……、「彼は弱い」だのなんなの言うけどさ〜、この時代の中でさ、現役を退いた後の身の処し方、

エンドウ:彼が選ぶ選択範囲はあまりに狭いと?

こだま:そうだよ。
結局、……、なんて云うのかな?……、つるんで上手くやってゆく連中っていうのが、なんか絞り込まれてゆくんだよ。
それは例え清原のようなビックネームであってもそこから漏れたらアウトと。

エンドウ:世知辛い世の中ですね……。
話を戻しますが、はじめさんとのデュオ以外でYABBYさん以外でこだま和文 from DUB STATIONに飛び入り参加した方がいるんですが、覚えていますか?

こだま:誰?

エンドウ:南流石さんが、これもやはりこだまさんのバースデイでじゃがたらの「世界を売った女神達」をPA卓からアカペラで唄ったってのが実はあって、

こだま:素晴らしいね(笑)

エンドウ:これは忘れがちなんですけどね(笑)

こだま:だからボクはそうやって16回、17回?……、と続けてきた中でさ〜、こう、“お茶を濁す”ってことをしなかったことは誇りに思うね。
例えば、毎回毎回賑々しくゲストを入れてゆけば、また違うやり方もあったと思うんだけど。そっちの方が分かりやすくもあるし。でも、ボクはそれをしないんだよ。

エンドウ:最初期なんですが、こけら落としの2days後に、あの空間の出自、“劇場”ってものに即アジャストしたと思うんですけど。

こだま:うん、ま〜ね。後で知ったんだけど、“新世界”、“新世界”って言っていたんだけど、サブタイトルに“音楽実験室”が付いていて。実は音楽実験室なんだなと。
それと、とにかく(新世界オーナー/川内)一作さんとエンドウソウメイがさ、演目に関しては立ち入らないと云うかさ〜、
「こういう場ですから」っと、ボク等の気持ちが暗黙でね。それがゲストを特に入れずに自分だけで来てくれるお客さんと向き合って、「どこまで自分のことが出来るだろうか?」ってことですよ。

エンドウ:こう改めてお訊きすると、自由を提供しているようで、かなり重い題材をこだまさんは抱えていたんだな〜と思います。

こだま:うん、確かにヘヴィーだし、同様にそれをお客さんにも突きつけてゆくことにもなるよね。

エンドウ:これネタばらしになるのかな?
こだまさんのライブの場合、実はパフォーマンスのプログラムはMCも含め細部まで台本を作ってきていて、そこからライブとしての脱線を内包させてゆくと云うか?
これ言っちゃうとお客さんの夢が崩れるのかな?

こだま:ハハハハハ(笑)
それはつまり、3ヶ月に1回ワンマンショーってことだから。
前座もなければDJもいないっていう。DJはエンドウくんがBGM的にセレクトする訳じゃん。

エンドウ:セレクションと云うか、「最近はこの辺をこだまさんは聴いてますよね」的な?笑
T・REXとか言い出したらその辺を入れ込む。

こだま:だから、ボクの場合は、ホント、スタッフと出演者が一緒になって。今までにない場所だよね。

エンドウ:ボクの勝手なイメージで恐縮ですが、こだまさんのライブヒストリーを語る上で欠かせない箱といったら、ミュートビート時代の常打ち、原宿ピテカントロプスというレジェンダリーな場所がまずあって、その後がこっちもレジェンダリーですがインクスティック。インクの場合印象深いのは六本木?芝浦?

こだま:どっちもだよ。

エンドウ:そこで水をさすようですが、実はその2箱ともそんなに長い期間やっていた訳じゃないんですよね。下手したら新世界の方が期間としては長いかもしれない。

こだま:そうだよね。
6年近く経っちゃったのか?って感じだもの。

エンドウ:ピテカンが略々2年?インクが3〜4年じゃないですか?

こだま:うん。それぞれそうだね。
やっぱオーナーのセンスってものが良い空間を作ってゆくってことなんだけど、そういうことが成立しにくくなった時代に新世界は始めた。そこが凄いことなんだよ。

エンドウ:ええ、一作さんがよく言ってましたもの、「以前ならもっとアーティストにいろんなことを還元出来たんだけど…」と。

こだま:80年代のように、出版、メディア、いわゆるサブカル的なものが非常に活気があった時代ではない中で、あんな新世界みたいなスペースがあっても周りからのサポートは以前みたいにない訳だから。

エンドウ:そうですね、ある種孤立無援ではありましたね(苦笑)

こだま:昔みたいに誰かが、「あそこは凄いよ!」って騒いでも人が集まるって時代ではもうないんだよ。そこでやってきたんだから凄いよ。
ラーメン屋だったら別だけど(笑)

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)

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 サブカル系サポート企業が冠として名乗りを上げることは最後まで結局なかったが(笑)トークショウをはじめ多くのサブカルスターが出演することでその名を馳せた部分が新世界にはあった。
 実はリアルミュージシャンこだま和文もその渦には面白そうに巻き込まれてくれた。

エンドウ:流石さんの飛び入りもですが、こだまさんが飛び入りしたイベントもありました。
「爆音カラオケ」!

こだま:あ〜〜!あったあった!ガハハハハ(爆笑)

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)
“都築響一が司会、湯浅学が審査員でこだま和文、レーザーカラオケで都はるみを熱唱する!”
ガハハハハ!(爆笑)

こだま:ガハハハハ!(爆笑)
「津軽海峡(冬景色)」唄ったよ(笑)

エンドウ:津軽海峡でしたっけ?なら石川さゆり?

こだま:いや?違う。「北の宿から」だった。都はるみ(笑)

エンドウ:そうだ、やっぱり都はるみでした!

こだま:あの感じでオレも自主企画やりたかったんだよ。

エンドウ:未完だった「架空スナック:エコー」ですよね(笑)
こだまさんの入院とかさなっちゃって。残念でした。

こだま:幻だよ。

エンドウ:シンガーの(松永)希さんがママさん。

こだま:そうそう(笑)

エンドウ:店長がサックスプレイヤーのてちゃん(西内徹)!

こだま:幻、幻。
やりたかったな〜。
そんなのも含めて、ワンマンは勿論、いろんな好きなことやったんだよ。てちゃんのリリースパーティーとかさ、「良かったな〜」と思えることを沢山ね。

エンドウ:あの時点では、同じステージにこだまさんと(松竹谷)清さんが揃っただけでも凄いことでしたものね。

こだま:うん。
だけど苦い思い出もあるよ(笑)
てちゃんの時だってアンコールで呼び出されて出て行ったはいいけど、黄啓傑とか20人位ステージにいるもんだからさ〜、遠慮してやめちゃったりだとかさ〜(笑)
だから、ボクにとって「新世界」は、そこまで気ままにやらせてもらえる場だったんだよ。誰にも文句言われない。

エンドウ:だって、開けたのがこだまさん本人ですから(笑)

こだま:いやいや〜(苦笑)
今思えばだけど、始まりは新世界に声を掛けてもらってオープニングからやる訳じゃない?

エンドウ:ええ。

こだま:その6年近く前を思うとね、「最近どこでライブをやっているんですか?」って訊かれて、「こんど『新世界』って箱が出来て、そこオレちょっと期待してるんだよ」って答えて。で、やり始めた訳じゃない。その時点では全くの白紙だよね。

エンドウ:こっちとしても、「あれだけのキャリアのこだまさんがよくレギュラーでやってくれるな〜」と。

こだま:でも、気が付いた時にはボクの周りのアーティストがみんなやっているんだよね(笑)
ひで〜、って云うか?悔しいって云うか?(笑)

エンドウ:それはレジェンドの宿命ですよ(笑)

こだま:少しはブッキングに貢献出来たなら嬉しいけどね。
ボクの場合は一作さんと新世界のスタッフが好きだったから続けてこられたんだよ。それに尽きるんだよ。正直甘えた部分もあるもん。

エンドウ:一作さんがこだまさん、ミュートビートの熱烈なファンってことがひとつまずありますから。

こだま:ミラクルだ、ミラクル。
しかも青山のCAY、CAYのオープニングだとか。だから一作さんって人と直接知り合う前から全然世話になっていた訳だよ。

エンドウ:確実にすれ違っていますよね。

こだま:うん。
それなのに本人が全然見えてこない。
そういう人なんだよ。
随分時間がかかっちゃったよね。
川内一作って人がじかにボクの目の前に現れた時、「ボクにとっての最後のプロデューサーかな?」って思ったんだから。

エンドウ:ボクは逆で、東京ソイソースの主要バンドで最初に見たのがミュートビートだったのに、こだまさんが一番最後にお近づきになれたという。

こだま:ああ、そうか〜。

エンドウ:新世界の前に系列店「クーリーズクリーク」を作った時に、こだまさんにはいち早くライブを一作さんはお願いしたかったらしいんですけど、音環境的に無理があって。

こだま:うん、そうだったみたいだね。
そういう出会いが大切な訳だね。

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 筆者はオープンよりこだま和文の全アクトを担当させてもらったが、前述したようにソロアクトは口を挟む余地等ない程に既に完成されたもので、手術前後の身体的心配を除き比較的楽なタスクであった。半面、氏がヴォーカリストとして参加したレアアクトは筆者にとって非常に過酷な現場であった。故に冷静に判断出来ない案件なのでここでは敢えて抜粋し、こだま本人の感想を訊いてみた。

エンドウ:さて、これもある種のレアライブ、完全ヴォーカリストで参加した通称「じゃがたらナイト」のトータル4日間の感想はいかがだったでしょうか?
次回お訊きするバンド活動始動に繋がっているってことは非常に嬉しいことなのですが。

こだま:うん、そうですよ。繋がっています。

エンドウ:当日はこだまさんは連日とっても楽しそうで。同窓会?(笑)

こだま:いやいや、まあ。
いや〜、そんなことないよ。違うよ、新たな挑戦だよ。

エンドウ:はい、すいません。

こだま:それは南もいてくれて出来たことだよ。
勇気ある行動だよ。じゃがたらを背負ってのことだからね。
それを創起するだけでもどれだけ大変か。

エンドウ:そうですね。特に1回目はネットでも心ない書き込みがあったり。
それに引き換えこだまさんのヴォーカルは全然叩かれない(笑)

こだま:おれは他の所でガンガン叩かれるから、ガハハハハ(爆笑)

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)

こだま:見ないもの。2ちゃん的な。

エンドウ:でも、ことじゃがたらイベントに関してはこだまさんの評価は高いですよね。

こだま:ありがたいよ。

エンドウ:なんでしょうか?アケミさん的何かをこだまさんが持っているんでしょうかね?流石さんはザックリ、「こだまはアケミだから」なんて言いますけど(笑)

こだま:ボクより以前からアケミともっと濃密な付き合いがあった人は一杯いる訳さ。だけど、どの位仲良かったとか、どの位付き合いが長かったなんてことよりも、やっぱり一時でも濃密な気持ちを持っていてってことがさ。そのままの気持ちで今もいられるからね。
だから、ボクのアケミに対する気持ちが半端ないから往年のファンの皆様も許してくれるんじゃないか?半端ないからね。

エンドウ:それに対して旧メンバーもみんな歓迎ですものね。

こだま:EBBYがよく、「オレが唄うのにギター弾いてくれたな〜」って思うもの(笑)

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)

こだま:楽器隊にはそれなりにシビアにアドバイスとかしてるじゃん、「なんかちょっと感じ違うんだよな〜」なんて(笑)

エンドウ:はいはい(笑)

こだま:ボクの唄にはEBBYなんにも言わなかったよ(笑)
「こだま唄うの?」位な話で(笑)

エンドウ:「いいじゃん、いいじゃん」って。

こだま:そう(笑)
これはどれだけボクにとってありがたいことか。
だって、「こだまが唄うならオレやんないよ」ってEBBYが言ったらそれでおしまいだからね。

エンドウ:ええ。

こだま:そこにノブ(桑原延享/Deep Count)も来て、ノブもやるし。OTOちゃんのメッセージも入って。あれは良いイベントだったとボクは思うよ。
でも、なによりあれを真面目にやろうとする南がやっぱ凄いパワーがあるし、それを引き受ける新世界も凄いと思うよ。
結局、そういう気持ちがあったとしても他の人達は実現出来ない訳だから。
それは凄いことなんだよ。

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 筆者の中で、オープニングアクトの会議をした記憶がまったくない。それが新世界なのだ。
 旧知のインテリアデザイナーが描き起こしたラフイラストの看板にも何故か「こだま和文」と当然のように記されていた2010年の夏。

エンドウ:ボクも真意をはかりかねるのですが、オープン前によく一作さんが言っていたのが、「80年代のおとしまえをつける」というフレーズ。
そんな中で特に論争になる訳でもなく暗黙でオープニングアクトはこだまさんになっていました。

こだま:約6年、それでも長く続けられてこられたことなんだけど、それ以上続けられないのはしょっぱなからこだまなんかをさ、

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)

こだま:起用するからだよ、ガハハハハ(爆笑)

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)

こだま:オレ疫病神みたいなさ、ガハハハハ(爆笑)
いろんな良いアーティストがいるだろうに。

エンドウ:ガハハハハ(爆笑)
新世界の他のブッカーは知りませんが、ボクの場合、何か箱に関わると、まずキョン(Dr.KyOn)さんとs-kenには相談するって流れが以前からあって。

こだま:夢のような箱だよね。
その出発地点のブッキングもこだまのことはさておき、一作さんもエンドウくんもやっぱり、……、レベルが高いよね。

エンドウ:恐れ入ります。
やはり、ベタではない広い意味の音楽性でロックシーンを作ってきた方々がボクの場合は好きなので。

こだま:まず誰に声を掛けるかって非常に大事じゃない?

エンドウ:まあ、場所も今回西麻布だったし、インクなんかの往年の方々がまた出演すれば場所も蘇るかと?

こだま:蘇らなかったんだよ!ガハハハハ(爆笑)

エンドウ:6年蘇ったんだから十分でしょ?(笑)

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 実に10年近く凍結していた「KODAMA AND THE DUB STATION BAND」が昨年末に再始動した。
 既に巷ではその高度な演奏に更なる活動を希望する声が鳴り止まないが、その真横にいた新世界を含めた近年の活動はやはり当然大きく再始動に影響しているのだろうか?

エンドウ:前述しましたが、年末のバンド再始動の予兆としてのバンドへの客演は新世界でもありましたが、他目立つところで、リクルマイバンド、ドライ&ヘビー等とも他所でやりました。そういうものと自身のバンド(KODAMA AND THE DUB STATION BAND)とはやはり違うものなのでしょうか?

こだま:違うね〜、全然違う。
とはいえ、ゲストだろうと自分のバンドだとうと、求められるものに応えるか?応えられないか?だけのことだからね。
うん、ゲストはね〜……、そうだな〜……、バンドでやれる機会をもらえたってことかな〜?
自分のバンドではないけど、他に人が持っている豊かな世界の中に入れる訳じゃん。

エンドウ:では、客演とはいえ、「バンドが再度やりたい」とのモチベーションにはなっていた?

こだま:なるよ。
羨ましいとは言いたくないけど、やっぱり4〜5人のメンバーが集まって音を出す機会っていうのはどれだけ豊かなことかと思い知らされる。
だから、そこに甘える訳だよ、乗っかればいいんだから。

エンドウ:ヒップホップのアーティストもキャリアを積むとバンドに移行しますものね。

こだま:うん、そうそう。ビースティ(ボーイズ)だってすぐに。それはやはり人間が4〜5人集まってエネルギーを出すことの豊かさへの憧れだよね。

エンドウ:以前からお訊きしたかったんですが、ジャマイカは逆に生演奏を志向する人達が減っています。何故でしょうか?

こだま:ボクのターンテーブルのステージと同じようなことじゃないか?
やっぱり切実なんだよ。お金がないってことだよね。
ヒップホップだって始まりはそうじゃん。

エンドウ:そうですね。
楽器買うお金がない。

こだま:あとは弾き語りのアコースティックなものも出てくる。あれもお金かかんないから。

エンドウ:日本のロックの初期の棲み分けも、金持ちはエレキギター、貧乏人はフォークギターみたいな側面もありました。

こだま:うん、そういうこと。
クラブシーンもそういう時期あったじゃん。DJが1人でなん百人も呼べるんなら非常に効率がいいよね。今はそれもなかなか難しいようだけど。
全体に、カルチャーとしてはひもじい方向に行っていることは残念だよね。

エンドウ:フォークシンガーと呼ばれる方達には、今でもギター1本担いで全国を廻っている方が沢山いますよね。

こだま:だから、流しだよ。そのルーツは。
原点と云えば凄い原点だよ。
バブルの頃は照明入れて、PA入れて。ま〜、あの何十年間が凄かった訳だ。
いかに派手に演出するか?と。
思えばある種の黄金時代だよな。
ロックスターもデビット・ボウイの死ひとつとってもさ、やがて亡くなってゆく訳じゃん。それ以前にアケミやさ、フィッシュマンズ佐藤伸治やさ、亡くなっていっている訳だよ、(クリーンヘッド)ギムラもさ随分前にいなくなっていて、別にボウイに始った訳じゃないんだよ。

 有は無と化す。
 大いなる実験場であり遊び場だった新世界。
 さてその箱の永遠のヘッドライナーはこの音の実験場をどう総括するのか?
 本日最後の金言に耳を傾けようではないか。

こだま:ボクにとっての新世界ってなんか不思議なものなんですよ。
もの凄い残念なんだけどね。
辛いよ、はっきり言って。

エンドウ:……。

こだま:だからこの約6年間、川内一作と知り合って、………、あっという間って感じるんだけど。
川内一作って人がボクの前に登場することによって、この6年間のボクにとって新世界が非常に大切な場となったんだよ。エンドウくん含め。

エンドウ:恐縮です。

こだま:あのスペースがなくなることはボクにとって大きいけど、「そんなことしょうがないじゃん」っと感じさせるのも新世界なんだな。
つまり一作さんなんて次々にそういうことをやってきた訳でしょ?

エンドウ:身近に刹那があるという。

こだま:そうなんだよ。
それも付き合いの中で分かっているから、そんなにショックはないよ。
大きいショックなんだけど、一作さんってことを思うとまた次に何か始るかも?とも思うし、新世界って場が消えたとしても、……、なんか、……、一作さんが感じさせてくれた、「やりたいことをやれる時まではやるんだよ」みたいな感じが大きく残っているから。

 ここまで語るとこだま和文はぐいっと紹興酒を呑みほしゆっくりと席を立った。
 次回は待望久しかったバンド再始動を中心に大きな朗報をお伝え出来ると思う。次回を待て。

国立「香来」にて取材

最新新世界ライブ:
2/27(土)“Original SHINSEKAI Final Count down4”こだま和文 from DUB STATION@新世界 vol.16「もうすこし此処で」
出演/こだま和文from DUBSTATION W/DJ-YABBY
御予約、詳細→http://shinsekai9.jp/2016/02/27/kodama16/

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Ⓒ門井朋
こだま和文(from DUB STATION)/プロフィール

1982年9月、ライブでダブを演奏する日本初のダブバンド「MUTE BEAT」結成。通算7枚のアルバムを発表。1990年からソロ活動を始める。
ファースト・ソロアルバム「QUIET REGGAE」から2003年発表の「A SILENT PRAYER」まで、映画音楽やベスト盤を含め通算8枚のアルバムを発表。
2005年にはKODAMA AND THE DUB STATION BANDとして「IN THE STUDIO」、2006年には「MORE」を発表している。
プロデューサーとしての活動では、FISHMANSの1stアルバム「チャッピー・ドント・クライ」等で知られる。また、DJ KRUSH、UA、EGO-WRAPPIN’、LEE PERRY、RICO RODRIGUES等、国内外のアーティストとの共演、共作曲も多い。
近年、DJ YABBY、KURANAKA a.k.a 1945、DJ GINZI等と共にサウンドシステム型のライブ活動を続けているが、2015年 12月、KODAMA AND THE DUB STATION BANDを再始動。メンバーは、こだま和文(tp.vo )、AKIHIRO(gr)、コウチ(bs)、森俊也 (dr)、HAKASE-SUN (key)。
また水彩画、版画など、絵を描くアーティストでもある。
著書に「スティル エコー」(1993)、「ノート・その日その日」(1996)、「空をあおいで」(2010)。ロングインタビュー書籍「いつの日かダブトランペッターと呼ばれるようになった」(2014) がある。

2016月02月08日